中小企業が受けた銀行融資のうち、2013年3月末で70兆円(対象企業数60~70万社)が、所謂「リスケ先」に対する貸付残高となりました。中小企業金融円滑化法の期限切後、概ね3年で、中小企業融資の正常化を目論んでいた政府・金融庁は、衝撃を受けました。それら銀行融資「リスケ先」60~70万社のうち、20~30万社は、金融庁基準の「債務者区分」は不良債権先たる「要管理先」以下(要管理先・破たん懸念先・実質破たん先・破たん先)との推測もあります。とても、銀行の融資課だけでは、指導しきれない不良貸出先の統計数値が推測として出てきました。
そこで政府は対策しました。2012年には「中小会計要領」という中小企業向けの会計指針を策定して、大企業にも適用する「会計原則」を中小企業向けの限定規範としました。そして今、官民を挙げて「中小会計要領」制度の浸透と定着を図っています。2012年8月には「中小企業経営力強化支援法」と言う中小企業経営者の経理能力アップを支援する法律も施行されました。そして其の支援のため税理士らの中から、一定水準以上の銀行融資・事業計画の実務経験者を改めて、財務省が認定する「認定支援制度」も走らせています。うがち過ぎかも知れませんが、この認定支援機関という制度は、書類審査だけで税理士らに「公的機関」としての謂わば「名誉」を与えることにより、融資銀行と協力して、銀行がさばき切れない数の「不良債権貸出先」の「銀行取引の正常化」と「事業の継続」と言う出口の作戦を支援させようとするものです。極めて責任の重い仕事です。
例えば「事業計画」支援では、その計画に関しては当然、銀行が定期的な(毎期又は毎月ベース)、モニタリングを実施しますが、その定期審査に対応していなければなりません。その審査は「80%基準」と法定規則があって、前期比(前回比)で概ね80%の達成率をクリアしない場合は、その計画書は「紙くず」として扱われます。やり直し又は、却下と云う深刻な事態に陥り、当然に「認定支援機関」の支援についての評価も下されることになります。それだけに、金融庁認定支援機関は、重い責任を持つと同時に、信頼できる支援者です。
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